東亜商事|Passion Cellar : 葡萄の大地から
フランス研修レポート
2013年6月22日~6月30日にフランス研修に社員2名が行ってきました。 生産者の情熱と葡萄の大地を体いっぱいに体感してきましたので、 生産者の生の声と共にご報告致します。
【フランス ワイン研修報告 2013年6月22日~6月30日】
*6月22日~6月23日*
飛行機のトラブルで予定の便が欠航となり、成田発の最終便に搭乗。その為、6月22日の夕方到着予定が6月23日の早朝、4時頃にシャルル・ドゴール空港に到着、宿泊予定の空港近くのホテルはコネクションジャポンの大谷さんにお願いし、キャンセルしてもらったので、空港駅で4時間ほど待って、8時19分発のTGVに乗りボルドーに移動。
昼過ぎにボルドー・サン・ジャン駅に到着、生憎の小雨混じりの天気。MCグループの寒郡さんと合流。話題のトラム(路面電車)で移動しボルドー市内へ。
(ボルドー市内の路面電車 トラム)
昼食は寒郡さんの案内で地元で人気のあるレストラン、ラ・ブラッスリー・ボルドレーズでボルドーの郷土料理、ランプロワーズ(八目うなぎ)の赤ワイン煮込みや南仏の郷土料理、カスレを頂いた。ワインはオンリストのグラスで注文、ランプロワーズは赤ワイン煮込みの為、赤でもおいしく頂きました。
このお店は当社でも販売している、シャトー・グロメル・ベレールもグラスで3ユーロでオンリストされていました。
昼食後、ボルドー市内を1時間程、見学。スーパーマーケットにも足を運んだが、日曜日の為、閉店しており見学できず。今日、明日の宿泊場所でもある、シャトー・メイルに移動。
(ボルドー市内を流れるガロンヌ川)
(旧ボルドー市庁舎)
(正面が見学予定だったスーパー)
(ボルドー市内の公園)
シャトー・メイル
醸造責任者でもあり、畑等の管理も含むワイナリーの統括責任者のディディエ・シャラミ氏に出迎えてもらう。当社でも定番のオーメドックのクリュ・ブルジョワですが、マルゴーとオーメドックの二つのアペラシオンに18haの畑を所有。栽培比率はカベルネ・ソーヴィニョンが30%、メルローが45%、カベルネ・フランとプチ・ヴェルドーが残りのの半分づつの7.5%づつ。2009年ヴィンテージのものからオーガニックとなります。
最初にシャトーの周りの畑を見学。現在は1981年に植樹された樹が大半で、平均樹齢は約30年になる。2~3年に一度、新しく植樹を行っているとのこと。カベルネ・ソーヴィニョンの畑は、少し茶色がかった緑、メルローは緑、プチ・ヴェルドーは鮮やかな緑だそうです。今がちょうど、開花、結実の時期だが、今年は雨が多く、あまり育ってなく収穫量の減小が予想されるようです。
収穫はメイルはプチヴェルドーが手摘みでそれ以外は機械収穫、マルゴーのガラン・ド・メイルは栽培面積が小さいこともあり、全て手摘み。
続いて、醸造所、セラーを見学。今回は自然派が話題になってきていることもあり醸造過程での添加物のことを中心に伺いました。
収穫後、プレスの前にSO2は使用する。酵母は天然酵母。発酵の段階では、色の薄い年にはタンニンパウダーを使用、また糖分の少ない年には補糖も実施するそうですが本当に必要なとき以外は使用しない。2012年からはタンニンパウダー等もオーガニックのものに変更している。ボルドーは補糖等は認められているが、カリフォルニアやオーストラリアでは当然の灌漑は認められていない。
熟成はメイルはオーク樽で12ヶ月、新樽比率は20%。ガラン・ド・メイルは18ヶ月で新樽使用比率は50%。いづれも樽は4年使用し、メイルとガラン・ド・メイルでうまく使いまわすそうです。
最後に試飲をさせて頂きました。メイルの2005年~2010年の垂直試飲、2010年が良かったように思います。
見学終了後、案内をして頂いた、ディディエさんと寒郡さんとシャトー近くのレストランで夕食、前菜にはメルキュレの白を、メインには当社でも販売しているミッシェル・テロンのクロ・デ・ジョゲロンを頂きました。クロ・デ・ジョゲロンはディディエさんのお奨めで、好きなワインだそうです。
*6月24日*
シャトー・カザボンヌ
カイワインの百合草さんの案内でオーメドックよりグラーヴへ車で移動、シャトー・カザボンヌへ。マリエさん、ジャン氏の夫妻で出迎えてくれる。
1972年より畑を購入、現在は赤は13ha、白は5haを所有、購入当初はアペラシオンはソーテルヌだったが、法律が変わり、現在のグラーヴになる。当社はマグナムドール受賞歴(過去5年間で同一アペラシオンで最もメダルを獲得したワインに与えられる称号。現在は廃止となっており、幻の称号)のある、白のみの扱い。
(マグナム・ドールの盾)
リュット・レゾネ(減薬農法)。テロワールを重視している。
収穫は機械収穫で4日間で全てを終了。収穫のタイミングは糖度計の使用と酸は収穫すると直ぐに落ちるので食べて判断する。区画毎の醸造はしていない。
プレス後に当然、SO2は使用。天然酵母で発酵、醸造課程では基本的に酵母の栄養剤の使用や補糖はしないが必要とあれば使う。マロラクティック発酵はしない。発酵を止めるにはベントナイトで蛋白質を取り除きSO2を添加、その後、フィルターを使用。白ワインの熟成に樽は使用しない、タンク熟成。
醸造所でアッサンブラージュ後の2012年をタンクより試飲。セパージュの比率はセミヨン60%、ソーヴィニョン・ブラン40%。基本的に比率は1:1だが、2012年はセミヨンの収穫が多かったのでこの比率になったとのこと。この時点ではまだ若干ガスが残っていたが、酵母はすでに死んでいるとのこと。フレッシュで酸がたっている感じ。
再び、車で移動、サンテミリオンに隣接するピュイスガン・サンテミリオンのシャトー・フォンガバンに。
シャトー・フォンガバン
オーナーのピエール・タイックス氏の案内で見学。ピエールさんは現在4代目で、醸造も自ら行う、以前は銀行に勤めていた経歴を持つ。シャトーは1805年建造で、タイックス家は1930年より所有。畑は8haだが、他にコート・ド・カスティヨンに52haを所有。ピュイスガン・サンテミリオンの8haの土壌は表面から50cmが粘土質でその下が石灰質、標高は85m。2011年にエコセール認証、今年、ABの認証を受けた。
栽培比率はメルローが80%でカベルネ・フランが20%。畑の雑草は抜かずにトラクターで耕している。
樽熟成中の2012年を試飲、パワフルな印象。酵母は天然酵母、SO2の添加は総量で90mg/lと少ない(EUのビオワインの規定は赤ワインの場合、上限100mg)、栄養剤やタンニンパウダー等の使用はしない。補糖は認められているものの、1999年からはしていない。1本の樹の葡萄の房数はアペラシオンの規定通り12房。収穫量は1ha当り40hlでアペラシオンの規定の60hlより収量を減らしている。
熟成はフレンチオークで3年間使用。新樽、1年使用樽、2年使用樽を各3分の1づつ使用。フィルターはかけずに清澄作業のみ。
同じピュイスガン・サンテミリオンでピエールさんが醸造しているシャトー・リゴーに車で移動。
シャトー・リゴー(シャトー・ラ・モーリアンヌ)
シャトー・リゴーはピエールさんが醸造を担当する、母方の所有シャトーで、当社扱いのシャトー・ラ・モーリアンヌも生産している。畑はシャトー・トロロンモンドに程近く、サンテミリオンに隣接している。土壌はフォンガバンと同様、表面より50cmが粘土質、その下が石灰質。10haを所有、6haがリゴーで4haがモーリアンヌ。モーリアンヌは年間生産量、僅か1200c/s。樹齢は50年~80年でメルローとカベルネ・フランが当初から一緒に植えられている。
2011年よりビオ・ディナミに移行。またアメリカのNOP(ナショナル・オーガニック・プログラム)を実践、植樹するなど、まわりの農薬使用の畑の影響を受けない方法を取っている。
醸造課程はフォンガバンと同様、SO2の使用は最低限。天然酵母、栄養剤、タンニンパウダーの添加物の使用はしない、補糖もしない。カベルネ・フランは樽発酵で樽はオーストリア製、ビオ・ディナミではよく使われているそうです。メルロー、カベルネ・フランとも区画ごと醸造し、樽熟する。新樽使用比率は100%。
アッサンブラージュ前のメルローを樽より試飲。どっしりしていた。次にアッサンブラージュ後でマロラクティック発酵中のものを試飲。若干のガスを感じる。
見学後にピエールさんの自宅に招かれ、昼食を御馳走になる。フォンガバン、モーリアンヌで奥様の手料理を頂く、重たくなくて、おいしい。
カイワイン、百合草さんの車でボルドー市内にもどり、MCグループの寒郡さんにアテンドをバトンタッチ、寒郡さんと供にこれから訪問予定のメゾン・ブエイのコレットさんと合流。車でメゾン・ブエイのオフィスに向かう。
メゾン・ブエイ
オフィスにて社長のパトリック・ブエイ氏と挨拶。メゾン・ブエイは当社が販売している天才醸造家ステファン・ドゥルノンクール氏が手掛けるレ・パーセルシリーズの供給元で1915年設立のネゴシアンだが、やはりドゥルノンクール氏がコンサルタントのメドックのクリュ・ブルジョワのシャトー・レストリュエルとシャトー・メゾン・ブランシュのオーナー(本日訪問予定)でもある。パトリックさんはその3代目で、ボルドーで400ほどあるネゴシアンの中でトップ10にはいるリーディングカンパニー。販売はフランス国内が40%(主にスーパーマーケット オーシャン)、輸出が60%(欧米、アジア、南半球にそれぞれ20%)オフィスはボトリングラインを併設した倉庫と同棟にある。
次の訪問予定の時間が迫っている為、倉庫とボトリングラインを駆け足で見学。ボトリンングラインは1日8万本の生産能力がある。空調設備が完備された倉庫なので、レ・パーセル、レストリュエル、メゾン・ブランシュはボトリングされたものを直ぐにここに持ってきて、瓶熟成、ラベル貼り作業を行うとのこと。
コレットさんの運転で次の訪問先のあるマルゴーに移動
シャトー・パヴェイユ・ド・リューズ(レ・パーセル マルゴー)
醸造責任者のステファン・フォール氏とドゥルノンクールさんのスタッフ、チーム・ドゥルノンクールの一員ともいうべき、アンナさんに出迎えて頂きました。
クリュ・ブルジョワのこのシャトーでレ・パーセルのマルゴーを造っています。アンナさんはドゥルノンクールさんのやり方を栽培から醸造にわたり、アドバイスしています。
パヴェイユ・ド・リューズは17世紀始めにはすでに設立されており、1862年にアルフレッド・ド・リューズ男爵が購入、以来、6代に渡り家族経営がなされています。
オーメドックの南部に位置し、小石がゴロゴロとした珪土質で水はけが良く熱をよく吸収する、マルゴーの特徴的な土壌とのこと。32haを所有、シャトーの前に畑が広がっています。栽培比率はカベルネ・ソーヴィニョンが60%、メルローが35%、カベルネ・フランが5%。他に10haを所有、内、僅かに、ブラン・ド・パヴェイユという白を造っているそうです。
完熟した葡萄を収穫する為、開花から110日で収穫するとのことですが、今年は天候のせいで開花が3週間遅れ、通常より遅い10月10日が収穫開始の予定とのことです、ドゥルノンクールさんは冗談で11月10日じゃないかとおっしゃていたそうです。
作柄は良い葡萄のポテンシャルはあるが、あと2週間位しないと、判らないようです。収量は1ha当り、47hl、アペラシオンの規定は57hlとのことなので、かなり収量を抑えている。通常、1本の葡萄の樹に7~8房ですが、葡萄の生育が良く、実が大きくなり、房が互いに触れるような場合は、カビが心配な為、剪定するそうです。
酵母はヴィンテージにより自然か培養かを判断。糖度が高い場合に自然酵母では最後までもたないそうです。
SO2は使用するが栄養剤、タンニンパウダー等の補助剤や酵素等は一切使用しない。ドゥルノンクールさんは畑、葡萄が重要で、補助剤等を必要としない葡萄を育てるという方針です。また発酵の温度に関しても現在では高温といわれる30度で発酵させており、昔に戻った方法をとっているが、昔と違うところは高温でも温度管理をしているところだそうです。醸造タンクは水のように氷点下で凍らない不凍液使用の最新タンクを使用。
清澄、フィルトレーションは必ず行う。特にアジア向けのワインは赤道を通る為、ワインの安定の為に必ず実施するとのことです。
熟成は樽で3年間使用とのことなので、新樽の使用比率は3割程だと思われます。ここで新樽の購入価格を聞ききました、一つ670ユーロだそうです。このシャトーは年間220個を買うそうです。
再び、コレットさんの案内で本日最後の訪問先へ。時間もあまりなく、急いで見学。
シャトー・レストリュエル
シャトー・メゾン・ブランシュ
メゾン・ブエイ所有のメドック・クリュ・ブルジョワ。醸造責任者のニコラ・メイラン氏の案内で見学。この二つのシャトーはシャトーと言ってもシャトーの建物は無く、二つのワインを一つの醸造施設で造っている。
畑はレストリュエルが20ha、メゾン・ブランシュは27ha。4年前よりビオ・ディナミに移行を始める。現在、併せて10haが完全ビオ・ディナミ。
ここもドゥルノクールさんがコンサルタントなので収穫は葡萄の完熟を待って収穫。機械収穫だが収穫前に不良な葡萄は樹から取り除く。収穫後この醸造所に葡萄を持って来て選果、畑の区画があちこちに飛んでいる為、収穫に1ヶ月近くかかることもある。収穫期には2日に一度、ドゥルノンクールさんが畑を回り、葡萄を食べて、収穫次期を判断し決定。決定後、メルローは24時間以内に収穫、最後はカベルネ・ソーヴィニョン。最近では、2005年が特に暑かった為、朝5時から収穫を開始、短時間で終わらせたとのこと。ドゥルノンクールさんなので、もちろん、醸造課程では栄養剤等の補助剤や添加物は不使用。SO2は使用。清澄、フィルトレーションは必ず行う。
ボトリング設備がこの醸造所には無いため、トラックにボトリング設備が積んである特殊車両のボトリング車を頼んでボトリングするそうです。今回は、たまたま、ボトリングの予定日に訪問したため、ボトリング車をみることが出来ました。
まだ、明るいが、時刻は既に8時近い。コレットさん、寒郡さんと宿泊場所のシャトー・メイルに近い、ゴルフ場のレストランに移動、夕食。楽しいはずであったが、疲れからか滝沢が体調不良。ゴルフ場のエントランスのソファーで休養。板谷課長、コレットさんと寒郡さんの3人で夕食をとってもらう。
*6月25日*
前日同様、コレットさんの車でステファン・ドゥルノンクール氏に会う為、コート・ド・カスティヨンにある彼のオフィスに向かう。
ステファン・ドゥルノンクール氏オフィス
ドメーヌ・ド・ラ
テイスティング・ルームに通される。入口の手前に植わっている木がドゥルノンクールさんが好きなティーアールという木とのこと。入口を入った正面の壁に棚が作りつけてあり彼がコンサルタントするワインがずらりと並べられている。暫く待つとドゥルノンクール氏と昨日、マルゴーのシャトー・パヴェイユ・ド・リューズで会った、アンナさんが現れ、挨拶。お茶をご馳走になりながら、談笑。アンナさんはドイツ人で本当はハンナだが、フランスなのでアンナと呼ばれている。ドゥルノンクールさんに自然派についてどう思うかを伺ってみた。彼は一言、Never。SO2を使ってこそ健全なワインが出来るのであって、使わなければワインではないとまで言っていた。今、パリやロンドンで自然派のワインが流行っていると言われているが、それはファッションと同義で流行っているだけだとかなり否定的。彼が否定的なのは特にSO2無添加に対してだと思われる。
オフィスに併設のドゥルノンクールさん個人所有のドメーヌ・ド・ラの醸造所とセラーに移動。
1999年に4haを購入。ビオ・ディナミ。栽培比率はメルロー60%、カベルネ・フラン40%でメルローはパヴィ・マカンの、カベルネ・フランはパヴィ・マカンとレグリース・クリネの畑の樹からのマッサル・セレクション。
土壌は粘土石灰質。石灰質から得られる特徴はミネラル、果実味、塩味、フレッシュさとの説明。
発酵は空気に触れやすくする為、木桶発酵(温度調節付き)。熟成はフレンチオークでヴィンテージにより14カ月~20カ月。樽は2年使用で、新樽比率は50%。
地下を掘ったセラーは30,000~35,000本分がストック可能。
(発酵槽には花の名前が)
忙しい合間を縫って、時間を割いて頂いた。お礼を言って、次の訪問先、お隣のサンテミリオンにアンナさん同行にてコレットさんの車で移動。
シャトー・ラ・ビアンフェザンス
(レ・パーセル サンテミリオン・グラン・クリュ)
醸造責任者のキャロリーヌ・ゴーリエさんが出迎えてくれる。ここもドゥルノンクール・チームのアンナさんがアドバイスをしており、レ・パーセル サンテミリオン・グラン・クリュの生産を委託しているシャトー。ドゥルノンクールさんがコンサルタントをしてから評価は急上昇、パーカーも高得点をつけている。畑は16haを所有しているが、区画があちこちに飛んでいる。サンテミリオンの土壌は市街地周辺は石灰質だが、上にあがると粘土質がみられるとのこと。栽培比率はメルロー80%、カベルネ・フラン20%。
シャトーの前の区画を見学。畑に麦をまいて、土壌再生を計り(柔らかくする?)、植樹しているとのこと。葡萄の樹の枝別れの位置が低いものは樹齢の古い樹で、昔と今では剪定の仕方が違っている為との説明。
醸造所に移動。酵母は自然酵母、木桶発酵で葡萄を入れてから1~2週間、蓋をするそうです。またマロラクティック発酵も自然にまかせている。ルモンタージュ(ポンピング・オーバー)は4日間、次の4日間でピジャージュ、最後にルモンタージュ(ポンピング・オーバー)、酸素を取り込むことを主目的で行うとのこと。
2012年のレ・パーセル サンテミリオンになるメルローとカベルネ・フランをそれぞれ樽より試飲、メルローはこの時点で既に柔らかく、カベルネ・フランはタニックな印象。キャロリーヌさんによれば、カベルネ・フランはしっかりした酸をワインに与える為とのこと。野暮たっくなりがちなサンテミリオンに女性らしいフィネスとエレガントさを加えたいと話してくれた。
次の訪問先に移動、次もアンナさんがアドバイスする、レ・パーセル ボルドー 赤を造ってくれている生産者。
シャトー・ロック・ド・ジャンリス(レ・パーセル ボルドー 赤)
4代目のクリストフ氏が案内をしてくれた。お住まいの建物はジロンド川流域の代表的なもので、1860年建造、地元の石を使っている、採石の穴が近隣でも見かけられるとのこと。家族経営の生産者で標高90mの場所に20haを所有。栽培はメルローとカベルネ・フラン。もともと葡萄栽培農家であったが、4代目のクリストフ氏になって、1997年よりワインを造り始めた。おそらく、ドゥルノンクールさんが関わってからだと思われますが、2005年ヴィンテージが2009年ボルドー100選に選出、パーカーポイントも高得点を獲得。
シャトー前の畑で説明。リュット・レゾネ。樹と樹の間は1mで列と列の間隔は3mと2m。3mはボルドーとアントル・ド・メールではトラディショナルなスタイル。2mは彼の代になってから植えたもの。クリストフさんとしては、2mがベストだと思っている。
酵母は培養酵母を使用、この地区の自然酵母はあまり良くないと彼は考えている。収量は1ha当たり35hl。1999年にセラーが完成。温度管理付きのステンレスタンクを導入(ボルドーでは一般的)、毎年3万本をボトリング。一部パーセルや他の業者に販売。
アンナさんとはここでお別れし、コレットさんの運転でシャトー・ブリオまで送ってもらう。
デュクール家(シャトー・ブリオ)
当社へも何度も来てくれている、ジョナサン氏をはじめ、ファミリーで出迎えてくれる。来年、当社が扱いを始めてから30周年を迎える、定番中の定番、シャトー・ブリオの生産者。
正午もかなりまわっており、デュクールファミリーのもてなしで昼食。アペリティフに彼ら思考錯誤とかなりな時間を費やして造った、レモンフレーバーのワインスプリッツァー風の微炭酸の新商品を試飲、果汁も使用とのことで、おいしいと思った。ただ、エクセラー価格が7ユーロを超えるとのことで、日本での販売はクレマンよりかなり高いものとなり、難しいと思う。
昼食後、ジョナサンさんの案内で見学。デュクール家はボルドーでも大きな生産者で、醸造所も3ヶ所と1970年代に建てた大きなセラーと昔からの古いセラーを所有、さらにシャトーも9つ持っている。古いセラーは熟成専用。
収穫は葡萄の状態をチェック後、機械収穫。そのため同一葡萄品種の区画をまとめている。手摘み収穫だと、全て終了するには、3週間かかるが、マシーンだと4日間で済む、葡萄を健全な状態で発酵させる為にも機械収穫が望ましいとのこと。収穫後の除梗も機械で行う。来年マシーンをリニューアル予定。プレス機は4年前に新しいものを導入済み。
醸造は培養酵母を使用、自然発酵を待っていると腐敗の恐れがあるとのこと。栄養剤、タンニンパウダー等は使用しない、補糖もしないが、醸造課程で若干の窒素を使用。ベントナイトまたはゼラチンで清澄、フィルトレーションはする、最新式のものを導入済み。また、熟成用の樽は25%が新樽で、3年間使用。製品サンプルをセラーで3年間、別の保管場所で5年間、計8年間保存という製品管理を実施。
今回ボルドーで見学した生産者のなかでは、醸造設備、セラー等、最大の規模でした、規模が大きいだけでなく、製品管理もしっかりした印象を受けました。
今日はパリへの移動が控えている為、急いで、今日最後の訪問先へ。サヴァスのオリヴィエ氏にピックアップしてもらい移動。
シャトー・グロメル・ベレール
85歳になる醸造責任者も務めるオーナーのフランソワ・ジョルジュ氏に出迎えてもらい、シャトーの広い敷地を見学。屋敷内で値打ちものだというご自慢の絵画を拝見する。たまたま中国の輸入業者のバイヤーも来ており同席。中国の方は普段は靴を輸入販売しているとのこと。敷地内のプールサイドでオーナーご夫妻に軽食で歓待される。グロメル・ベレールとその上級キュヴェ、エヴァを試飲、キュヴェ・エヴァはグロメル・ベレールをさらに洗練した感じの味わいで上品。オーナーのフランソワさんはこのシャトーのワインも販売するネゴシアンのサヴァスのオーナーでもある。
85歳のオーナー、フランソワさんの運転でセラーに移動、少々危なかったような・・・。生産量は年間12万本。栽培はトラディショナルとのことだが、必要と判断した場合は農薬の使用もするとのこと。栽培比率はメルローとカベルネ・フラン80%、カベルネ・ソーヴィニョン20%。手摘みは時間とお金がかかる為、機械収穫。酵母は培養酵母、SO2は当然使用するが、栄養剤、タンニンパウダー等の補助剤は使用しない。貯蔵用タンクは以前、イノックスを使用していたが、現在は温度管理のしやすい、コンクリート製に変更。樽熟は7ヶ月で新樽使用比率は3分の1、3年間使用。
運転にはお気をつけてと祈りつつ(シャトーを出る時に庭の木に接触していた)、お礼を述べて、シャトー・グロメル・ベレールを後にする。
パリに移動の為、ボルドー・サン・ジャン駅までサヴァスのオリヴィエさんに送ってもらう。ここで寒郡さんとも別れ、20時18分発のTGVに乗る。
23時40分過ぎにパリのモンパルナス駅に到着。コネクション・ジャポンの大谷さんと合流、タクシーで今夜の宿泊先のモンパルナスのホテルに向かう。チェック・イン後、軽く食事を摂り、就寝、明日に備える。
*6月26日*
7時30分、ホテルを出発。レンタカーでシャンパーニュへ。大谷さんの運転で、1時間半~2時間で到着予定。
バロン・アルベール
1947年、アルベール・ルイ・バロンによって設立。現在は実質3代目当たる彼の孫娘の3姉妹が運営。長女のクレールさんが販売、マーケティング、次女のリーズさんが醸造、三女のアリーヌさんが畑だが、彼女は現在まだ、醸造学校で勉強中とのこと。
三姉妹の案内で畑を見学。シャルリ・シュル・マルヌ、ソール・シュリー、ドラシーを中心に55haを所有。32haがピノ・ムーニエ、15.5haがシャルドネ、7.5haがピノ・ノワールで平均樹齢は31年。設立当初は畑が数アールしかなく、農業を幅広く営んでいたそうです。彼女たちの父親とその兄弟が、徐々に畑を買い広げたとのこと。
シャンパーニュの規定で斜面以外は葡萄を植えられない為、麦を植えてある。土地が肥沃過ぎても、葡萄栽培に向かない。対岸の南岸に、彼女たちの父親の兄弟の畑が12ha程あるとのこと。リュット・レゾネで人間に害があるものは使用しない。収穫は手摘み。シャンパーニュではまるごと一房使用の規定で、機械収穫は難しいとのこと。また、畑が生産者、所有者ごとにまとまっていて、飛び地になっていないそうです。また生産者も他に比べると少ない。
トラクターを2台所有、1台は葡萄の房への日当たりを良くする為、葉を切り落とす、もう1台は薬剤散布用。葉の切り落とし作業は機械が葡萄の樹をまたぐ為、オンジョンブル(またぐ)と言うそうです。機械作業後に交差した枝を手作業で整理、広げて、日当たり、風通しを良くする。畑のバラはうどんこ病に反応する為にところどころに配置。樹と樹の間隔、列と列の間隔は2.2m以内の規定ですが、基本的に1.1m間隔で栽培。
収穫時期には、120~130人を雇い、100人が収穫、20~30人がカーヴでの作業に従事するそうです。基本的に収穫時期は9月中旬だが、2003年、2011年は暑かったので8月末に実施。今年はやはり、天候が悪く、9月末~10月上旬になるのではないかとのこと。成熟の早いピノ・ムーニエからシャルドネ、ピノ・ノワールの順番で収穫。
醸造設備のあるカーヴに移動。2010年に新設、100万本のストックが可能。祖父の代から掘り始めた旧カーヴは80万本のストックが可能。屋外に機械や車を洗浄した水が直接畑に流れ込まないように浄化層を設置、葡萄畑の草等を使用しバクテリアで浄化してから排水、2005年頃設置、設置当時は義務化されていなかったが、現在は義務化。
プレス器はバルーン式で8000kg。プレスに3~4時間。
バロン・アルベールではテット・ド・キュヴェを一番搾りと二番搾りに、プルミエ・タイユをタイユAとタイユBにそれぞれ二つに分けている。今年、4000kgのプレス器を新たに導入予定。区画毎に葡萄の成熟度が異なる為、さらに細かく、区画毎のプレスの実施を今年から予定している為。
酵母は培養酵母を使用。温度調節付きのタンクで16~17度で10日前後。ジュースの段階と発酵後にSO2を使用。50~70mg/l。リキュール・デクスペディション時にも僅かに使用。醸造課程で窒素も若干使用するとのこと。瓶内二次発酵時の酵母も一次発酵のものを使用。一部、木樽発酵、木樽熟成を実施。1990年よりミレジムとカルト・ドール用のリザーヴワインの一部に木樽熟成を実施。
醸造後、1~2週間置いてオリと分け、上澄みだけを貯蔵。1月にアッサンブラージュを実施。アッサンブラージュ後、冷却安定(-1~-2度)で酒石を除去。リザーヴは1年のみ。瓶熟はノン・ミレジムで24ヶ月、ミレジムで36ヶ月、いずれも規定より長い。
昼食に招かれる。市街にある自宅まで移動。ご両親も同席で、見事な庭をみながら手料理とキュヴェA.Lとミレジム2007年を堪能。
ここから80kmほどある次の訪問先のあるランスに向かう。時間が押して、遅れて到着。
ツァリーヌ
副社長のフィリップ・フェメル氏と輸出部長のアントン・ホブス氏に出迎えて頂き、時間も押している為、急いで醸造設備、ボトリング・ライン、カーヴを見学。ツァリーヌはシャンパーニュのグループでは業界第2位のランソンBCCグループの中核をなすシャノワーヌ(テタンジェに次いでシャンパーニュで2番目に古いメゾン)のスペシャル・キュヴェ。
プレス後のジュースの段階と瓶詰め、デゴルジュマン時にSO2を使用、計70mg/l。醸造段階で窒素も若干使用。酵母は安定して発酵させる為、培養酵母を使用。葡萄品種毎の醸造、各葡萄品種の生産地域は葡萄のばらつきを抑える為、それぞれ一つの地域に集中させている。マロラクティック発酵は11月頃に一部実施。ミレジムには劣化が進む為、マロラクティック発酵のワインは使用しないとの説明。リザーヴワインは4年まで。貯蔵タンクは全て温度調節付きステンレスタンク、トータルで3万hl。アッサンブラージュは750hlのタンクで行う。冷却安定は-5度で実施、酒石を除去。
リキュール専用のタンクとクリスタルシュガーを使用してリキュールを造る専用タンクもある。
ルミアージュは容量、ボトル形状用毎にプログラムがある。デゴルジュマンのマシーンは2機あり、一つは750ml用で完全自動。もう一つは750ml以外のサイズ対応用で半自動、-24度で20分冷却する。デゴルジュマン時にでるオリは廃棄せずに販売、ビネガーやシャンパーニュのマスタードの原料となる、王冠も捨てずに販売するとのこと。
リキュール・デクスペディションは一旦ワインを吸いだし、リキュールを加えた後に液面の高さを一定に調節する為に、吸い出したワインを加える。
打栓時にキャップシールのブランドマークがラベルの正面に来るように調節。商品をトレース出来るようにコルクとキャップシールの両方にナンバリング。管理の為、二次発酵前の王冠にもロットナンバーを記載。
箱詰めはマシーンを導入せず、目視検査も兼ね、手で詰める。パレットに積む時には30分毎に箱を開けて中を確認。パレット積み後、シュリンクマシーンに。
工場内に気体を外に逃がすダクトも設置。BRCグローバルスタンダードという規格でグレードA、シャンパーニュではこの工場のみとのこと。
カーヴは2800万本のストックのキャパシティ。ワインが劣化しないように電灯はオレンジ色の照明を使用。エアコンも設備してあり、夜,作動させる、12~13度に保ち、記録もするそうです。
製品の管理は徹底していると感じられました。
テイスティングルームでツァリーヌブランドを駆け足で一通り試飲させて頂きました。
大谷さんの運転で、本日の宿泊先がある200km以上離れたディジョンに移動。21時過ぎに到着。チェック・イン後に近くのチェーン店で食事。
*6月27日*
ドメーヌ・マシャール・ド・グラモン
今回の研修で、唯一当社の定番での取り扱いのないドメーヌ。ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュ、グランド・リュを単独所有。家族経営で22haを所有。
リュット・レゾネ。収穫は全て手摘み。酵母は自然酵母。コラージュはせずにフィルトレーションのみ。年によっては酵母の栄養剤を使用。赤ワインはピジャージュで色を調節。熟成は樽で、白は12ヶ月~16ヶ月、赤は16ヶ月~24ヶ月。樽もワインによって使い分けている、フレンチオークを中心にアメリカンオーク(力強さ)とわずかにアカシア。またフレンチオークでもボージュ山脈等の山のものは年輪がしまっていて、樽の成分が少しづつ移るが、平地のものは成分がすぐ(4~5年)に移ってしまうとのこと。基本的に白は平地の樽、赤は山の樽を使用する。ニュイとボーヌでも樽の使い方を変えている、ボーヌは丸みがあって柔らかな為、ゆっくりと樽で寝かすタイプではなく、逆にニュイはタニックでがっちりしている為、樽でゆっくりと寝かせる。テロワール、日照時間、場所を考えて判断しているとのこと。
SO2については詳しく説明して頂きました。発酵前にタンクに入れる時と酸化防止の為にマロラクティック発酵後に遊離SO2を計って、SO2の量を一定に調節するように使用。シリコン製の樽の栓が出来てからは、樽の密閉度が高まり、CO2が漏れない為、酸化防止の効果が高くなった。熟成の段階で酸素が必要と判断した場合は、上からシャワーのようにして添加。酸素が必要ではないと判断した場合は、下から入れると同時に窒素も入れてCO2と入れ替える。ボトリングの際には、ワインの状態に応じて添加、最終で20ml~30mg/lが残るようにする。ワインのphが4くらいで酸が弱い場合はSO2はすぐに結合してしまう為、多めに入れる、逆にph3.5で酸が強い場合はあまり必要ないので、入れる量は少ない。総添加量も100mg/l以内にしている。いずれにしろ輸送、保管には絶対に必要と考えている。30年~40年前は長期熟成のものが造られたが、現在は早く飲んでもおいしく飲めるものを目指している。
カーヴで試飲させて頂きました。
●ブルゴーニュ・アリゴテ ル・シャピトル 2011
フレンチ・オークとアカシア。2~4年の樽。
酸が強く、硬い印象。
●ニュイ・サン・ジョルジュ 2010
フレンチ・オーク使用、3分の1は新樽。
若干の還元臭?
●ピュリニー・モンラッシェ ウーリエ 2011
しっかりした骨格、ミネラル。
●ショレイ・レ・ボーヌ ショルリ・クロ・マルゴー 2011
フレンチ・アメリカン・オーク。若々しく、タンニンあり力強さも感じる。
●サヴィニー・レ・ボーヌ 2010
フレンチ・アメリカン・オーク。2~4年の樽。ショレイ・レ・ボーヌよりエレガントな印象。
●ポマール 1erクリュ クロ・ブラン 2008
新樽3分の1、山の樽。厚みがあり、強い。
●ニュイ・サン・ジョルジュ オー・ポワルク 2010
シャープでバランスが良い。
●ニュイ・サン・ジョルジュ オー・ポワルク 2011
2010年より果実未が豊富。
●ニュイ・サン・ジョルジュ 1erクリュ レ・ダモード 2011
硬く、締まっている。タンニンも強い。
●サヴィニー・レ・ボーヌ 1997
熟成した香りだが、まだ酸もしっかりしている。タンニンは柔らか。今が飲み頃との事。97年は良年。
●サヴィニー・レ・ボーヌ 1erクリュ 1987
酸は僅かに。タンニンが溶け込んで丸い感じ。
バックヴィンテージもあるとのことなので、アロケーションを当社にも貰えるかを確認、了解してくれた。挨拶をして、次の訪問先に。
ピエール・アンドレ
副社長のアントワーヌ・ピリエ氏、輸出担当のフィリップ・サンゼル氏と醸造責任者のリュドヴィン・グリヴォーさんの案内で畑を見学。
枝1本に2房。房を付ける枝と巻きつく枝は別、互い違いに付いている、葉と葉の間に房がなる。葡萄の樹1本に対し年間6回対処を施す。6月の時点で(受粉して結実してから)枝切る、樹が伸びようとして房に栄養が行かなくなる為。下葉を切った後は枝の交差を直す等の手入れを行う。来年に向け、もう一つの枝を残す。手入れはするが、プロフェラキシー(自然療法)を実施。今年は雨が多く葡萄の花のキャプション(キャップ)がとれない、衛生状態が悪くなり、カビが発生しやすくなり、流産になってしまう。現時点で収穫量の予想は出来ない、花が咲き終わった後で判る。収穫も遅くなるが葡萄の質が悪くなると決まった訳ではない。理想は暑い夏で収穫前に雨が降ること。
ヴォーヌ・ロマネ 1erクリュ オーブリュレ
樹齢40年、泥土、粘土質、石は少ない。
ニュイ・サン・ジョルジュ 1erクリュ
レ・ダモード
樹齢65年、泥土、粘土質の上に石。
2007年を試飲 かたい、タンニンも
中程度、果実味も感じる。
コルトン・シャルルマーニュ
コルトン・アンドレ所有、
15a(700本程 度)。樹齢50年、
馬で作業。収穫は最後の方。
コルトン・ルナール
コルトン・アンドレ所有、0.5ha。樹齢45年、
石灰岩、泥土質。
コルトン クロ・ド・シャトー
シャトー・ド・コルトン・アンドレに隣接する畑。
モノポール、0.33ha。石灰岩、泥土質、石が
大きい。
サヴィニー・レ・ボーヌ
今年、購入したばかりの畑。夫婦を雇い、管理
を依頼。
サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゲトット
コルトン・アンドレ所有、0.82ha。収穫が最も遅い畑、醸造所に隣接。クロの
表記は最低で3方に壁があること。
醸造所の見学の前に、忙しいリュドヴィンさんと別れて、ピエール・アンドレのワインもオン・リストしている、レストラン、ラ・ビュイッソニエールで昼食。サントネイ 白 2009年、モンテリー 赤 2010年と供に御馳走になる。
昼食後、サヴィニー・レ・ボーヌの醸造所でリュドヴィンさんと合流し、醸造所内を見学、説明してもらう。
醸造所はここサヴィニー・レ・ボーヌの他にサントマリーにある。収穫時に建物の前にテントを張り、選果する。赤の収量は地方ACで55hl、村名AC~プルミエ・クリュで45hl、グラン・クリュで32ha。白の収量は地方ACで60~65hl、村名AC~プルミエ・クリュで55hl、グラン・クリュで45hl。
発酵槽は温度調節付きの木桶で開放発酵。醸造施設が古い為、コンクリートタンクは床が持たず、ステンレスタンクは場所をとる。天井に命綱用のフックを掛けてピジャージュをする。
発酵槽にチョークで図をかいて、詳しく説明してくれた。赤ワインの場合、発酵槽に葡萄を入れ、フリーランジュースが上にあがるまで10度で管理(コールドマセラシオン)、SO2はこの段階で添加、葡萄の状態で添加量を判断(60mg~80gm/L)。その後、発酵を始める、発酵期間は約1週間で、かもしで1週間。酵母はブルゴーニュ・ピノ・ノワールの場合、培養酵母、ジュヴレ・シャンベルタン等の村名以上のクラスは自然発酵とのこと。最初のコールド・マセラシオンからかもしの終了までの期間はブルゴーニュ・ピノ・ノワールは約16日、ジュブレ・シャンベルタンは約30日と長い。いずれも最後のかもしの期間は温度が28~30度に調節。また、最初と最後の段階で窒素とCO2も添加する。
色の抽出はピジャージュとルモンタージュで。初めはピジャージュのみ、次にピジャージュとルモンタージュ、最後はルモンタージュのみ。色の抽出の濃さを例えるとピジャージュはお茶でルモンタージュはコーヒーとのこと。
赤は4月の樽熟成の段階でマロラクティック発酵を行う。白はヴィンテージとテイスティングにより決定。赤は100%、白は約85%程度の実施。
樽熟成の期間は白は12ヶ月~14ヶ月、赤は16ヶ月~18ヶ月。樽は3回(年)使用。リュドヴィンさん曰く赤は樽に入れるまでが大変で、白は樽に入れてからが大変だそうです。マロラクティック発酵中の樽があり、音を聞かせてくれた、微かにだがピチピチと音がしていた。
白はバリック発酵の為、最初は一杯には入れずに、アルコール発酵が終わったら足して、一杯にする。白はジュースの段階で試飲、発酵が終わった段階でも欠陥を見つける為試飲。
ヴィンテージとACにより熟成の樽とイノックスの割合を判断。基本的にブルゴーニュ・ブランは樽が25%、イノックス75%。コルトン・シャルルマーニュは100%樽。
フィルターはボトリング時にベントナイトで粗いものと、細かいものを使用。コラージュは状況を判断して決定。
また、何故、自社畑を所有していても、ドメーヌを名乗れないのかとの問いに対しても回答いただいた。ドメーヌ名乗る為には、ドメーヌ専用の醸造設備を分けて設置しなければならない為、醸造所内に新たにに仕切って醸造設備を設けることは物理的に不可能だし、ピエール・アンドレのスタイルではないとのこと。
色々な疑問に対し、丁寧に説明をして頂き、感謝しつつ。今回の研修の最後の訪問先に向かう。
ドメーヌ・トルイエ
19世紀末から続く、家族経営の小さな生産者。5代目のウィリアム氏が、入り組んだ地区の為、途中まで、出迎えて頂きました。
ドメーヌはプイィ・フュッセの中心に位置している。14haを所有。リュット・レゾネ、ビオ・ディナミにも挑戦中だが、かなり難しく、今年は途中で断念したそうです。
酵母はマコンは培養酵母で、プイィ・フュッセは自然発酵。発酵層は木桶、バリック、ステンレスタンクをワインによって使い分けている。発酵温度は低温発酵で初めは12~13度、終わりは16~17度。発酵を止める為に温度を上げる。
マロラクティック発酵は一部実施。ベントナイトとフィルターは使用。
2010年より冷却安定を実施、酒石を除去。熟成は10ヶ月、樽とステンレス・タンクを併用。
アッサンブラージュは瓶詰め直前に実施。樽は3年使用とのこと。
ドメーヌもプイィ・フュッセの真ん中にあるが、このドメーヌ所有の畑、オーシャイユの場所もプイィ・フュッセの中心にあり、トップ・キュヴェのクール・ド・プイィの場所はオーシャイユの本当に僅かな一角にある。
トルイエファミリーに別れを告げ、宿泊先のあるディジョンに向かう。チェック・イン後またもチェーン店で食事後、ホテルに戻る。
*6月28日*
ディジョンの駅に向かい、レンタカーを返却。11時過ぎのTGVでパリに向かう。パリリヨン駅に13時過ぎに到着。リヨン駅に程近い、本日の宿泊先のホテルにチェエク・イン。メトロに乗り、オペラ座近くの駅で下車。板谷課長の希望で昼食はラーメンに。オペラ座から南に向かって歩き、ラーメン屋を物色、大勝軒の看板につられ、お店に入る、スタッフは日本人がおり、味も日本のものと遜色ないように思った。
1時間程、パリ市街を見学、ホテルに戻り、休憩をとる。18時過ぎにロビーに集合、夕食をとる店を物色。やたらに焼き鳥、寿司の看板が目に入る。怪しいと思いながらも今夜の夕食は焼き鳥に決定。目に付いたお店に飛び込むがかなり怪しい。案の定、店内は中国語が飛び交っていた。諦め半分、焼き鳥を注文、お寿司もあったが頼む勇気が出ませんでした。出てきた焼き鳥の味は意外にも普通、完食して、お店をでる。
ここまでアテンドをして頂いた、コネクション・ジャポンの大谷さんは今夜の列車で自宅のあるロワールまで戻る為、リヨン駅まで同行、お礼を述べ、見送った。
ホテルに戻り就寝。
*6月29日~6月30日*
本日は日本に帰る。9時過ぎにホテルをチェックアウト。リヨン駅よりバスでシャルル・ドゴール空港へ。予定の便に搭乗、出発がストライキの影響で1時間程、おくれたものの、日本時間の6月30日午前9時過ぎに無事に成田に到着。家への帰路に着く。
酒類事業部 滝沢 美治
板谷 高昌