東亜商事|Passion Cellar : 葡萄の大地から
シャトー・メールよりニュースレター到着
シャトー・メールより近況報告のためのニュースレターが届きました。
ワイナリーの最新情報を知ることができるだけでなく、
彼らがワイン造りに傾ける情熱と信念が伝わってくる内容となっております。
お客様の今後のワインの採用のご判断の一助としたく、ご紹介いたします。
【収穫レポート】
厳しい寒さの冬が終わり、素晴しい晴天に恵まれ
私たちは収穫の時の訪れに歓喜していました。
ここまで本当に長い長い道のりでした。
ブドウの糖度は非常に早い段階で、適切な水準に達していたのですが
タンニンが完璧に熟成するのを待つ必要がありました。
極端に暑い日々が続き、タンニンの熟成を遅らせてしまっていたのです。
9月23日にランクロガラン(マルゴー)のメルローの収穫開始、
10月5日にシャトー・メール(Haut-Medoc)での他のブドウを収穫しました。
(収穫機 有機農法後の初めての収穫作業)
収穫期間中で雨の日は一日だけだったので、
作業は全くの支障も無く順調に進みました。
収穫の期間中に、日本の輸入代理店が
顧客と共にシャトーを訪れ、
ブドウの選別をしました。
【ワイン造り】
収穫したブドウを発酵用のタンクに入れて二日目、
ワインの色が非常に濃厚なことが明らかになりました。
それぞれのタンクから独特の陶酔するような香りが漂い始める・・・。
チェリー、ライチ、ミント、カシス、赤スグリ、野生の桃、
ローズウォーター、ジャスミンと藤の花・・・・
タンニンは上質でしっかりとしていて、
ストラクチャーもとても明瞭です。
2009ヴィンテージはかなり期待できそうです。
ゆっくりと長い時間をかけた発酵の後、
改めてワインの量を計測したところ、実際にはかなり少ないことがわかりました。
べと病の発生がメルローの収量を減らしてしまったことが要因です。
日本の顧客に新ヴィンテージのワインを入れる前の
新樽を熱湯洗浄する作業をしてもらいました。
【2008年ヴィンテージ】
清澄を終えた2008年ヴィンテージのワインは非常に繊細に見えます。
4/29と4/30にボトリングし、19ヶ月の熟成後
樽ごとにワインをグラスの上に注ぎ、
異常が発生してないか視覚で念入りに検査をします。
その際、ワインの流れに樽からの澱が混ざるのをブロックするために
ステンレス製の蛇口で調整しながら行っています。
一連の作業を経ることで澄んだワインは澱から分離されていきます。
その後樽から沈着物を取り出し、再使用のための処理として
樽を洗浄したのち、樽内を焦がすことによって硫化させます。
【土壌とワインについて】
年末の雨のせいで土壌の準備と植栽の予定は遅れていました。
今年はカベルネの最古の区画で枯死したブドウ株を植え替える予定になっています。
また、数本のカベルネフランの一部もメルローやカベルネソーヴィニヨンに植え替える予定です。
(植え替え作業の様子)
少数の区画にはオーツ麦とマメ科の植物が植えられています。
オーツ麦は非常に繁茂しやすい性質のため、
土壌の中ではオーツ麦とブドウの根の生育が競合することになり、
ブドウはより深い部分にまで根を下ろすようになるのです。
夏になるとオーツ麦やマメ科の植物は暑さと乾燥で枯れ、根も分解されます。
土壌の中でその根が占めていたスペースは開放され、
ブドウは自由に根を伸ばすことができるようになります。
この手法ならブドウの成長を阻害しません。
土壌はブドウ樹の栄養分を得るだめだけでなく、生物・菌類などの住処でもあります。
それらは大いなる自然の一部であり、
(地球温暖化などが問題になっています)土壌内の真菌や細菌なども含めて、
各種ミネラルと微生物の相互作用で、土壌内の窒素は消費されていきます。
蒔いた豆(空豆とルピナス)は微生物が必要とする窒素を簡単に補充してくれるため
土壌を再び活性化させるのです。
ブドウは土壌のミネラル分や窒素、リンやカリウムのみを必要とするということではなく
私たちは土壌の要素の全てについて検討します。
ブドウ自体が必要とする要素を土壌から探し得ているのです。
このことにより我々はブドウのために自然な状態の土壌を用意しているのです。
【2010年ヴィンテージの準備】
2010年の準備として、剪定やブドウの収量の計画、また、土壌を準備しています。
ブドウの木の植樹、表土に豆の種をまく作業はすでに予定されています。
(ニュースレターは以上です)
彼らがブドウのために、限りなく自然なテノワールを守ろうとする姿勢に感嘆します。
近年のエコロジー問題だけではなく、職人としての誇りが突き動かすのでしょう。
私たちも2009年、2010年のワインが上質なものに仕上がるよう願っています。